頭を使って家づくりする家づくり説明書

【第2回】 間取りを決める前に考えよう!敷地に対して最適なリビングはどこ?

2022.07.07 頭を使って家づくりする家づくり説明書

●日当たりシミュレーションから考える間取り設計とは?!

【登場人物】

■高野工務店三代目社長 高野 和賢 (たかの かずよし)

・ご家族が快適に暮らせる家の設計とそれを見える化した分かりやすい提案が得意
・趣味は野球と読書

■A子(えいこ)

・6才、4才、2才の3人の子どもがいる30代主婦
・最近、夫の地元である茨城県つくば市に引っ越してきた
・これからつくば市内で新築を建てるところ

 

つくば市内で新築を検討中の主婦A子。
家づくりで悩んでいる時に出会った高野社長にインタビューをしながら初めての家づくりに大切なことを教えてもらうことになった!

前回はお金を使う前に「頭」を使った家づくりの大切さを学んだA子。

間取りを考えるうえで、周辺環境から考えていくことが大切と語る高野社長。

一体、どういうことなのか?!

●太陽の日差しの当たり方と影の動きを見てみよう!

――前回、高野社長は「間取りを考える時は周辺環境から考えないといけない」と仰っていましたが、どういう意味なんですか?

高野社長:
そうですね。まずはパソコンに表示したこの画像を見ていただけますか?

▼12月20日の朝8時

――これは何ですか?

高野社長:
日当たりシミュレーションの画像を見ていただいてます。
敷地が” 茶色 ”に塗ってあるのが、お客様が建てたい敷地です。
左側の壁みたいなのは、実際は山なのですが、それを想定して壁を立てています。
ちょっと、時間を動かしていきますよ。

▼12月20日の朝8時

▼12月20日の朝10時

▼12月20日の昼12時

▼12月20日の14時

▼12月20日の16時

――わぁ~~!この画像、日陰の位置がどんどん動いていくんですね!
高野社長:
そうです。最初の画像では、12月20日の朝8時の日の当たり方を見てもらいました。
日にちや時間を変えることで、日の当たり方をシミュレーションして見ることができます。

――とっても面白いです!
時間を変えると、影が動いていくんですね~!

高野社長:
季節によって太陽の高さが違うので、同じ時間でも影の出来方が違います。
例えば、今見てもらっている12月20日だと日の出が6時55分くらいなので、時間を動かしていくことで、こんな風にこの敷地にどういう風に影ができていくかというのを目で見ていただけます。

――この日当たりシミュレーションをやるとどんなことが分かるんですか?

高野社長:
例えば、ここのお客様は「朝日が入る家がいい」と仰っていたので、日当たりシミュレーションをやることで朝の時間帯に右の側面から太陽の明かりがずっと当たっているのを確認することができます。
1階の右の側面に窓を設けて、ダイニングをもってくれば、朝日の入るダイニングを作ることができます。

▼朝日が当たる建物の側面

――なるほど!具体的に日当たりシミュレーションを見ることで、やりたいことをどうやって間取りで叶えたらいいのかが明確になるんですね!

高野社長:
はい、そうです。
例えば、2階の前面が南側になるのですが、朝からずっと太陽が当たっているので、「もし吹き抜けをつけるならここに作るといいですよ」という提案をさせてもらったりしています。
ここに吹き抜けを作れば「1階に朝から陽が落ちてくるから、電気をつけなくてもいられますよ」とお話しています。

▼吹き抜けを作る最適な場所

――ステキですね!電気代の節約にもなるんですね~!

高野社長:
はい、その通りです。「パッシブデザイン」の考え方(太陽光などの自然の力を活用して快適に生活するための考え方)が、この日当たりシミュレーションをすることで具体的に設計に活きてくるのです。

――「パッシブデザイン」という考え方も、「日当たりシミュレーション」も、今まで色んなハウスメーカーさんを見てきましたけど、こういう提案は初めて見ました!
日当たりシミュレーションは高野工務店さん以外でもやっているところはあるんですか?

高野社長:
あると思いますよ。
ただ、つくば市では、うち以外では見たことがないですね。
たぶん、結構手間がかかるのでやらないところが多いんじゃないですかね(笑)

――そうですよね。お客様ごとに、日当たりシミュレーションをして設計をするとなるとかなりの手間がかかっちゃいそうですもんね!
住宅展示場に行っても、こんな提案一回も見たことが無いです。

高野社長:
そうですね。ハウスメーカーさんだと、なかなか一般化できないと思うので、地場工務店だからこそできることの1つじゃないかなと思います。

――前回、高野社長が「LD(リビングダイニング)は単純に南に配置すれば良いというわけではない」と仰っていた意味が、なんとなく分かってきたような気がします。

高野社長:
そう言っていただけて嬉しいです。
例えば、先ほどの日当たりシミュレーションの建物の南側に、高さのある建物がすでに立っていたら、どうなると思いますか?

――えっと、敷地図だけ見ていたら、南だから日が当たるだろうと思って南にリビングを置く間取りを考えてしまうと思います。
でも、実際に日当たりシミュレーションをしたら南側は高さのある建物の陰で日陰の時間が多くなってしまうってことですか?

高野社長:
そうです!だから、敷地図と周辺環境を見て行くことが大切になってくるのです。

――なるほど~~!!!やっと理解できました(笑)

高野社長:
良かったです(笑)
次回、もう少し詳しい具体例をご覧いただきながら説明していきますね。

 

-次回-【第3回】つくば市の気候と季節に合わせた快適に過ごせる家づくりをしよう!


 

日当たりシミュレーションを見せてもらったA子は、ようやく高野社長が伝えようとしてくれた家づくりの大切なポイントが、分かり始めていた。

●今回の「家づくり説明書」の学びは?
  • 日当たりシミュレーションをすることで実際に住んだときに、どんな日当たりの家になるのかというのはイメージできましたか?
  • はい!敷地図だけを見て南側にはリビングと単純に考えるのではなく、周辺環境を見ながら間取りを考えていくことが大切なんだって分かりました。
  • そうですね。自然の力を最大限に活用すれば、吹き抜けをつける場所一つで、電気代の節約にもつながりますからね。間取りを考える前にまずは日当たりシミュレーションをして周辺環境を踏まえた家づくりをすることが重要ですね。

 

最新記事

  • アーカイブ